中学部:中学部通信8月号 学園長ブログ~可能性のとびら~-4

ルールやマナーを守れる人になるために、家庭で実践されている家庭内の仕事を役割として任せ、そのことを家庭内のルールとして本人が納得した上で実行されることが、実践できるSSTとしてよく言われています。そのルールを家庭で徹底させるために、よくありがちな対応としてきめられたルールを視覚的に絵で提示したりしても、抽象概念が発達していない発達障害の子どもたちは、禁止事項だけが構造化され、張り出されて規制されても、禁止事項における「具体的に何をしたらよいのか」のイメージができない人が多いのです。

たとえば「部屋を汚さない。部屋を片付ける。」のルールであれば、禁止事項を貼り出すより、「遊んだ後は決められた箱に定めた道具をしまう。」「本・漫画はAの棚の定めた場所にしまう。」などの片付けの手順に従い、視覚的に構造化した方がはるかにそのルールが本人にとって守りやすくなります。

また、学校のルールとして、「廊下を走らない」という禁止事項がよく壁に貼られていますが、実際に実行できる方法としては、禁止事項を提示するより「廊下を歩く」を視覚的に構造化し、歩く速度(前の人を追い越してはダメ)や歩くポジション(廊下の左側)などを明記して正しい

廊下の歩き方を教えることが、「廊下を走らない」を守らせることにつながる、より効果的な方法になるのです。このようなことに注意して、ご家庭で守らせたいルールや、やらせたい役割分担を増やしていくことをご提案します。

そして、決められたルールが守れなかった時に、自分の過ちを認めるスキル(自ら謝罪できるスキル)を次に教えてください。問題行動があった時に、自ら言い訳を言わせるのではなく、言い訳が出尽くすほどの質問を本人に繰り返し問い、その上で本人の言い分を聞くようにします。叱る理由を親から説明するのは、問題行動を自ら悟り、認めた後にしてください。子どもが自ら謝罪した時は、きれいさっぱり許すようにします。人に許されることがないと、人を許すスキルが育たないと考えます。自分に非があったので、謝罪に至る経緯を自ら認めることが謝罪であることを定着させることが重要です。自分の主張を謝罪の後に付け足すのではなく、「最初はこう思ったが、私のこのような行動が全て悪かったのです。」という謝罪を身に付け、取って付けたような謝罪はさせないことが、お子様の誤学習につながることを防ぐ方法なのです。

最後に、自己決定力を高めるSST(ソーシャルスキル・トレーニング)として、なるべく早い時期から自分でできることは自らの行動で本人に実践させることを心がけてください。保護者に頼らず自分自身で責任を持ち、自分のことは自分の意思で決定させることが自己決定力の育成につながります。保護者はその決定を見守り、支えていくことに徹するのが大切です。

また、お使いを任せたら、購入する商品やサイズは指示を出さず自分で判断させ、あとでその商品を購入した理由を聞くこと。病院などへ一人で行けるようにしていく。自分の症状を自分で説明できるようにする。服薬を自分で管理させること。学校や習い事への送り迎えはせず、自分で行き帰りの道を選択し、一人で行けるようにする。傘が必要かどうか、学校に携帯するかどうかを自分で判断させる。季節や気温に適したその日着ていく衣服の選択を自分で判断させる。自分の欲しいものの欲求は言葉で明確にお願い、要求することを習慣付けるなど、日常の何気ないお子様との関わり方にも気を付け意識することで、驚くほど自立するために必要なスキルが育まれるものです。

中学部で実施しているSST(ソーシャルスキル・トレーニング)の授業も、社会に参加するために必要とされる人の関わり方やルールを学び、コミュニケーションスキルを向上させることを目的としています。将来、お子様が働く上で必要となる重要なスキルがソーシャルスキルです。有益なSSTの授業を進めるためには、一人ひとりのお子様の特性を理解することが必要になってきます。また、家庭での理解も大切な要素になります。家庭におけるご両親との関わり方などの環境がお子様の成長に大きく関係してきます。中学部のSSTの授業は、保護者にお子様の特性を理解してもらい、より良い行動を多くするための適切な対応を学んで頂く授業でもあります。