２, 自然学園 おもいやり収穫祭特別企画講演会の報告

（ 第1７回思いやり収穫祭　特別企画特別講演シンポジウム『不登校からの脱却』 ）

今年の思いやり収穫祭の特別講演会は、11月2日の午後2時から自然学園の校舎にて卒業生との対談を織り交ぜながら行われました。現在の社会問題にもなっている不登校の増加に関して、自然学園の在籍生徒の多くが小中学校の在籍中に「いじめを除く友人関係の問題」などの人間関係のトラブルや「学業不振の問題」から派生した「宿題などの提出物が出せない」、「教員との問題」から学校に強いストレスを感じていました。そして、まわりの子どもたちと自分との間に違いがあることに気づいてくるにつれて自己肯定感が低くなり、クラスの子どもたちから孤立するようになり、クラスメートのからかいやいじりに敏感に反応するようになります。

そのような態度にまわりの子どもたちが面白がり、いじめのような状態になることは、今まで多くの在籍生からお聞きしている不登校に至る一つのパターンです。

令和7年の10月29日に文科省から発表された令和6年度の不登校に関する統計によると、不登校児童生徒についての把握した事実として「やる気が出ない等の相談があった」30.1％、「生活リズムの不調に関する相談があった」25.0％、「不安・抑うつの相談があった」24.3％の理由が上位にありました。

不登校を経験している生徒の半数近くは、90日以上の長期化している不登校生であることも、二次的なつまずきに陥って悩んでいる発達障害がある児童生徒と重ねて考えてしまいます。よく不登校といじめとの関連性を取り沙汰されることがありますが、上記の統計の5位に位置している「いじめ以外の友人関係をめぐる問題」13.2％の背景にある状況は、その問題を解決するためのコミュニケーション力の欠如や相手の気持ちを読み取るスキルなど対人的な能力の希薄さに原因があるように思っています。

そして、自己肯定感が持てない気持ちが他者との距離感を大きくし、クラスに自分の居場所を感じられなくなってしまうからではないでしょうか。そのことからくる不安や他者に対する劣等感が情緒の混乱に結びつき、不登校が長期化します。強い不安からくる情緒の混乱には、発達障害の2次障害といわれる拒食、過食、不眠、強迫性障害などの精神疾患も含まれています。

バンブー教室の生徒の皆さんは、どちらかと言うと人の気持ちを読み取ることが苦手な人たちです。クラスメートからは、自分勝手でわがままだと誤解されている人もいるでしょう。人の気持ちが読めないつまずきには、生まれながらにもっている性格や特性も起因していることは事実ですが、それだけではありません。自分自身に自信がなくてコンプレックスが強く、自己肯定感が少ない人たちは、その裏返しとして自己主張の強さや他者への攻撃性が自分の気づかないところで強くなります。だから、新しい環境で不安を抱えている人ほど、なんとか人に認められようと肩に力が入って頑張りすぎてしまうのです。そのような行動が他者から見ると、去勢を張っているように見えたり、強引で我儘そうな姿に映ったりしてしまいます。そのようなことがいじめや人間関係のトラブルのきっかけとなるのです。不安や緊張感の強さは、問題行動を引き起こす引き金になりやすいのです。