バンブー教室:バンブーだより12月号 学園長ブログ~可能性のとびら~-3(1)

3,バンブー教室が対象にしているお子様の勉強のつまずきについて

(1)学習のつまずきの原因

1月は、中学校3年生が入学試験を控えて、試験対策の勉強に力を入れなければいけない時期になります。勉強があまり得意ではなく、中学校時代に中間期末テストが嫌でしかたなかった人たち、試験が近いことで冬休みを憂鬱に過ごしてきた人たちは、少なくないでしょう。

受験生に限らずバンブー教室の生徒の皆さんは、勉強が苦手な生徒が多いと思います。テストに対するアレルギーがある人も少なくありません。学力不振が学校を嫌いになるきっかけになったり、自己肯定感が低くなるきっかけになったりした人もいるでしょう。また、不登校につながった人もいるかもしれません。

学習のつまずきは、読む、書く、聞くなど、情報を処理する認知の偏りに起因しています。とは言っても、視覚的な機能や聴覚的な機能が弱いことではありません。一般の人には気付くことができない、人には見えないつまずきが起因しているのです。読むことに苦手さがある、書くことの苦手さがある人は、宿題などは到底できないでしょう。「読む・書く」に苦手さがある人は、問題文や文章などを読んで、設問に応じた答えを解答欄に筆記することは困難を極める行為であり、課題とされる項目が「わかる、わからない」、「理解できる、できない」以前の問題です。中学生が、学力考査の前に提出を義務づけられている教科書ワークは、たとえ答えを写すだけだとしても、解答を書き写すだけで他の勉強は手につかない人が多いと思います。

このような人の場合、ワーキングメモリに原因があることが考えられます。ワーキングメモリとは、情報を一時的に記憶・処理する能力であり、頭の中のメモ帳の役割をしている機能です。たとえば授業で、先生が黒板を使って説明を行う際も、その文字を自分のノートに書き写すには、一度頭の中のメモ帳に、書いてある文字や記号を記録して、ノートにその文字や記号を書き写します。その際に使っている頭の中のメモ帳がワーキングメモリなのです。足し算や引き算など計算の際には、数字を一度頭の中のメモ帳に記憶させ、計算のルール・手順にもとづいて解法し、処理されたその数字を答えとして解答欄に記入するのです。文章読解も前に書いてある事柄や登場人物の行動や発言した言葉の記憶がないと、文章が先にすすんだ時に書かれている内容を理解することができなくなります。その際も、前に書かれている文章の事柄を一度頭の中のメモ帳に残し、登場人物の行動や発言を時間軸に沿って処理するワーキングメモリが不可欠です。

このことからもわかるとおり、一人ひとりの感覚的な偏りや情報を処理する認知力の凸凹を把握し、どのような覚え方なら記憶しやすいのか、どのように提示したら課題に取り組みやすくなるのか、どのように問題のプリントを工夫したら、解答欄に答えが書きやすくなるのかなどを考えれば、課題や問題に負担なく取り組めるようになることは不可能なことではありません。