2,「不安・無気力」で不登校になるお子様の真実
不登校生が多くなっていることは度々お話しさせていただいていますが、その理由の大半に「不安・無気力」が挙げられています。これは、「いじめ」、「人間関係のトラブル」や「学力不振」、「提出物が出せない」、「教員との問題」等の明確な理由がない不登校の場合は、統計上「不安・無気力」に分類されてしまうからだと思われます。併記したような理由の積み重ねが気持ちの変化に繋がり、行きたくないと自分の気持ちが判断した時はもう引き返せないような思いが強くなり、不登校になってしまうからではないかと考えています。
バンブー教室で学ばれているお子様を考えると、椅子にちゃんと座れずに、絶えず横向きに足が机からはみ出しておしゃべりが止まらず、貧乏ゆすりが多く、継続して先生の話を聞くことや課題に集中して取り組むことが苦手なので結果的に授業妨害になってしまっているお子様が多いのではないかと思っています。このようなお子様は、まわりからは「落ち着きがない子」、「勉強ができない子」とレッテルを張られがちで、当然先生からも注意される対象になっているので徐々にクラスメートからも浮いたような存在になり、クラスに居場所がなくなっているような疎外感を感じてしまうことがあると「不安・無気力」感から苛まれるように自分でも無意識に学校に行くことが辛くなってしまうことも考えられます。
「落ち着きがない子」と言われるような一般にADHDの傾向がみられるお子様は、このような特徴が見られ、他のお子様に比べ、かなり活動的でもあるので、思ったことをそのまま口にして授業中に先生の説明を遮ってしまったり、クラスメートの発言を中断させてしまったりして、授業の進行の妨げになっていることさえ自分では気づけないお子様が多いのです。また、気持ちが持続できずに学習課題に集中しなければいけない場面で別のことに気がとられてしまい、授業とは無関係なことに取り組みだしてしまうような問題行動の多さも良く見受けられる光景です。
このような傾向のお子様にみられる共通した課題は、抑制する力が弱いと言うことです。抑制とは不適切な行動を考え、発言をコントロールする能力です。これには、ワーキングメモリの弱さも関係していると言われ、行動を抑制するための自分の課題を忘れてしまい、すべき行動を見失ってしまいます。それによって注意されることは十分承知しているのですが、問題行動を繰り返してしまうのです。また、やるべき行動の優先順位をつけられないことも特性であるので、やらなくてもいい行動がどうしてもやるべき行動より優先してしまい、同じ失敗を繰り返す結果になることもあるでしょう。
「お勉強ができない子」は、ワーキングメモリと言われる学習の基礎となる情報を処理するための能力である認知的スキルが問題になって、学習でのつまずきを生じているケースが考えられるのです。
授業に参加することは「読む」「書く」「聞く」の能力が必要とされています。教科書の文字を読む、黒板の板書を書き写す、先生の説明を聞く、などの行動は、学校で学習する為の授業では必ず必須とされる能力です。知的なつまずきがないのに「読む」ことに時間がかかる、書いてある内容がよくわからない、「板書を書きとる」ことに時間がかかる、何度も見返しても写し間違えが多い、「説明を聞く」のに聞き漏らしが多い、聞き間違えが多い、頭に話の内容が入らない人の多くは、言語のワーキングメモリや視空間のワーキングメモリが弱く、その処理に困難さが生じている人たちです。このような困難さがあれば集中力に影響が出て、授業に参加することが難しくなります。挙手を求められても答えが思い浮かばないでしょう。指をされても、すぐに返事もできない人が多いでしょう。やがては授業に出ることさえ負担になるでしょう。
家庭で学習的な課題を消化することも漢字の暗記、国語の文章読解、計算、算数や数学の文章題、英語のヒアリングに至るまで、ワーキングメモリを使わずに学習することはありません。ワーキングメモリは、「脳のメモ帳」と言った考え方があります。これは学習に取り組むための順番を取り決めたり、取り組みやすいプロセスを考えたり、今まで覚えた知識や処理するパターンやイメージを重なり合わせて頭で問題の解法を思い浮かべたり、立式するのに役立ちます。また、ADHDの特性である気が逸れてしまって勉強に集中しなければいけない時にもワーキングメモリは重要な役割を担います。
宿題などはワークシートや宿題のプリントに解答を記述しなければなりません。また、問題が書かれた文章をどの教科でも読んで理解する必要があります。その際にワーキングメモリを必要とします。そして、導き出した解答を問題集やノート、プリントの書き込む作業を必要とします。
潜在的に持っているこのような発達の偏りから生じる凸凹は、彼らの学習意欲や自己肯定感にも密接に関係しているので、今まで学習するために置かれた環境がマッチせずに彼らの特性に負荷をかける結果になってしまうと、ADHDの特性である「不注意性」や「投げやりな態度」、「集中力の無さ」を余計引き出してしまうことになり、学習に取り組むことを阻害してしまう結果になるでしょう。そして、自分からも勉強ができない劣等感が強くなり、学習意欲が減退します。そして、クラスに居場所が感じられなくなってくる気持ちが芽生えてくるのです。このように不登校に至るお子様は「学力不振」、「提出物が出せない」といった不登校のきっかけより、このような状況で不登校に至るお子様は「不安・無気力」が理由になっているケースが多いと思います。