中学部:中学部通信10月号 学園長ブログ~可能性のとびら~-2

3、第12回「自然学園体育祭」のご報告

10月5日(日)に、第12回「自然学園体育祭」を開催しました。

また、感覚過敏が強い人たちは、スピーカーから流れる音楽や大声、ピストルの音など耐えることができない環境が運動会にそろっています。経験を通して先入観を無くして、苦手なことにも取り組む適応力を学ぶことや、過去のトラウマから逃げない勇気、提示されている課題を受け容れ対応できる方策を考えていく姿勢を育むことを願い、体育祭を実施しています。

自然学園の目標である、社会人として豊かな人生を歩むための「協働」や「協調」が、体育祭に参加することで育まれることは確かでしょう。勝ち負けのこだわりを少しでも少なくするために障害物競走を取り入れ、脚力だけではない勝ち負けの要素を付加しています。また、その際のジャンケンも、負けた感を強く持たないように旗揚げジャンケンを導入するなど、発達障害の特性である聴覚過敏や感覚統合の問題以外にも、こだわりなど細部にわたり考えられるだけの工夫を凝らした体育祭を心がけ、自分の意志で競技に参加することを基本に考えています。

前日は雨模様でしたが、当日は秋晴れの体育祭日和で、午後に近づくにつれ気温も高くなりました。また、熱中症対策のため午前中の開催としました。

「玉入れ」では、全学年が一丸となって目標のカゴに向かって玉を投げ入れていました。

「大玉ころがし」では、小学部、中学部がテニスラケットを上手くコントロールしながらゴールを駆け抜け、「障害物競走」では「旗上げじゃんけん」で負けて、何度も戻らなければならない生徒もいましたが、最後まであきらめず走っている姿がとても印象的でした。

今年は「赤組」の勝利でしたが、勝ち負けにかかわらず、一人ひとりに得るものがあったのではないでしょうか。普段運動をあまりしない生徒たちには、心地よい疲れと、達成感が忘れられない思い出になったことでしょう。いままでの学校で実施する体育の授業同様、運動会での練習や本番での嫌悪感や疎外感などのトラウマが払拭され、少し解放された気持ちが芽生えるきっかけとなればうれしいです。

 

4、思いやり収穫祭のテーマ「継続」に対する思い

今年の学園祭である思いやり収穫祭のテーマは「継続」です。自然学園では、スモールステップで自分の目標に到達するため、一人ひとりに無理のない目標に向けた支援計画を考えています。また、社会へ参加するために必要なこととして、自己理解が不可欠です。自己理解は自分のつまずきや欠点を受け容れ、その解決を考えることです。

発達の凸凹から生じる問題行動や苦手さは、そんなに簡単には解決しません。今できることから少しずつできることを増やしていくのです。

スモールステップは、目標をめざして「できたこと」「できること」を少しずつ積み重ね、達成すべき最終目標にたどり着くため、途中の中継地点を段階ごとに細かくわけ、少しずつ習得できるようにする考え方のことを言います。そして、その中継地点の旗にたどり着くため、彼らに合った歩き方や山の登り方、近道を教えることで、たどり着いたことに対する自信が付き、先の見通しも付いてきます。

自分の夢を実現するためには、決してあきらめない強い気持ちと勇気をもって、スモールスモールステップで一つひとつできることを増やし、困難さを乗り越えていくしかありません。今できることを着実に実行していくこと、そしてできないことをあきらめないで自分の苦手さが補える他の方法を試して見る視点をもつこと、トライ&エラーを繰り返しながら決してあきらめないでできることを増やし続けること、そして決してできない言い訳をしないこと、そのことを短いことばで言い換えると「継続」になります。このような思いで「継続」を今年の思いやり収穫祭のテーマに致しました。