6,不登校を経験している子どもたちの人間関係における課題
中学部での1学期の学校生活を重ねる中で、生徒の皆さんも人間関係が自然に構築できて、クラスの中での生活が苦痛ではなくなり、毎日楽しく学校生活を送っているように私には思います。しかしながら、人間関係がうまくいくと、もうひとつ踏み込んだ友人関係を要求されるので、距離感や人間関係のタイミングなどをうまく測れない人たちにおいては、時折トラブルを起こしてしまう傾向があります。
複数の人間関係から1対1の関係を求めて、その関係においては唯一無二の存在でないと我慢できない人が多いように思います。友人関係でも、異性との関係でも自分だけを見てくれないとだめなのです。その感情が抑制できないので、問題行動をわざと起こして相手から注目を受けようとします。そのようなことをすればするほど人の気持ちは離れていきます。しかし、そのことがわからないのが現実なのです。
一度精神的に不安定になると、なかなか精神的に回復できないことも彼らの特性の一つです。入学者の中には、小学校時代から不登校が続いていた生徒もいます。
その生徒は、入学した時より明らかに登校日数が増えていて、週1回休むか休まないかになってきています。朝どうしても起きられず、遅れてくる日は時折あるものの驚くぐらいの回復力を見せています。
ほとんどの生徒の皆さんは、小学校在学中に不登校やいじめを経験しています。そのことが継続することによって強迫性障害や統合失調症傾向、拒食過食などの二次的な情緒の混乱に悩んで医療機関に通院している人も少なくありません。学力面での問題に起因する場合もありますが、人間関係のつまずきに起因するケースが非常に多くなっています。最近の在籍生徒の実例で言うとSNS(ソーシャルスキルネットワーク)のやり取りの中でトラブルを起こしてしまうケースを多く聞くようになりました。
最終的に社会参加が中学部の生徒の皆さんの大きな課題になります。その課題を乗り越えるには、人との関係性の克服が重要であり、コミュニケーションも含めたソーシャルスキルの獲得にも集約されてきます。
自然学園の生徒の皆さんの中には、言語性が低く、自分の気持ちをうまく相手に伝えられない特性を持っている人たちが多くいます。コミュニケーションに関しても、一方的で自分の主張や言いたいことに終始して相手の気持ちは理解しようとしないことも特徴の一つだと言えるでしょう。
もともと傷つきやすく、他人に嫌なことされたり言われたりしたことは決して忘れません。それどころか時折、思い出してパニックになってしまうのです。フラシュバックと言われている状況もこのようなことだと思います。
自分の部屋にこもり、嫌なことを思い浮かべて悶々としている時間とSNSの利用時間が重なっているので、学校での人間関係のトラブルやクラスメイトの不満や自分にとって許しがたい行為をされた場合、SNSを使って自分の言いたいことを一方的に送りつけてストレスを解消しようとする人が多いようです。
特に彼らはグループに所属している他の人たちが自分の打った文章が、他の人からどのように理解されるかを考える余地もありません。自分の意見だけ一方的に主張します。それが拡散するので、当然のようにまわりとの確執を生みます。それが人間関係の大きなトラブルになっているケースが非常に多いのです。いじめにつながることや人間関係の不安につながり情緒の混乱を招くケースは、少なくありません。