中学部:中学部通信8月号 学園長ブログ~可能性のとびら~-2

3,お子様の不安を少なくする家庭の関わりの重要性

発達障害傾向がある子どもたちは、本来抱えている困難さの他に、情緒が混乱または不安定になったり、身体症状として現れたりすることがあります。それらは、発達障害の「二次障害」と言われています。発達障害のあるお子様にとっては、さらに困難さが増えてしまうため気をつけなければなりません。しかし、二次障害で生じやすい強迫性障害や不安障害、不眠や鬱症状などは、発達障害の合併によるものではない場合も考えられています。その中の1つに「愛着障害」があります。

愛着障害とは、養育者との愛着関係が何らかの理由で形成されなかったことにより、子どもの情緒や対人関係に問題が生じる状態です。主に虐待や養育者との離別が原因で、母親を代表とする養育者と子どもの間に愛着関係がうまく芽生えないことによって起こると言われています。

乳幼児期に養育者との間できちんと愛着関係を築くことができないと、「過度に人を恐れる」または「誰に対しても馴れ馴れしい」と言った症状が現れることがあります。このことが、学校生活での人間関係のトラブルに直結したケースとなる事例があります。他人との距離感をうまく保つことができないことから、担任やクラスメイトの言動の一部を取り上げ、相手のことを善悪で決めつけ、相手を否定し攻撃してしまうケースも見られます。このような「過度に人を恐れる」ケースは、反応性愛着(アタッチメント)障害と診断されることがあります。

また、他人との距離感がうまく保たれず、それほど親しくないクラスメイトに付きまとったり、全く面識がない人にでも親しげに近付くことで相手に嫌がられたり、教員に対しても接点が少ない教員に付きまとい、はっきりと拒否されるまでいつまでも親しげに付きまとう問題が生じている生徒もいます。誰彼構わず抱き付いてしまい、自分を癒してもらいたい欲求が抑えられなくなる生徒もいます。このような「誰に対しても馴れ馴れしい」ケースは、脱抑制愛着障害と診断されることがあります。

以上のことが起因したトラブルは、学校生活が少し落ち着いた今の時期に起きやすいのです。学校生活におけるこのような問題行動は、クラスでの居場所を失い、クラスメイトから疎外され孤立してしまうことも珍しいケースではありません。愛着障害のある子どもたちは、自分が周りから疎外され疎まれることが大きくなればなるほど承認欲求が強くなり、他者から注目されるための問題行動をわざと起こす傾向があります。周りの反響や反応が大きければ大きいほどその回数は増えていきます。

お子様が愛着障害と認められた場合にまず行うことは、安全基地の形成です。子どもとの間で愛着関係がしっかりと築かれことで、子どもは養育者のことを安全基地、すなわち困った時・不安や恐怖を感じた時に、守ってもらえる拠り所として認識するようになります。

愛着障害の子どもは、養育者を安全基地と見なせていない場合がほとんどです。そのため、子どもに「養育者=安全基地」と認識してもらえるように、親族やかかりつけの医者など、周りの人々が親子を支援していくことが必要です。安全基地の形成が足がかりとなって、子どもが人と接することへの安定感や信頼感を生み、他の人との接し方・距離感も改善することが出来ます。また、子どもが愛着障害を発症するということは、養育者や家族も何らかの支援を必要としていたり、問題を抱えていたりする場合も少なくありません。その場合、子どもだけに治療の焦点を当てるのではなく、養育者や家族を含めて幅広くアプローチを行うことが必要だとされています。例えば、虐待が原因の場合は子どもと養育者の距離を一回遠ざけてみたり、親へのカウンセリングや心理療法的・家族療法的アプローチを取り入れたりすることで、子どもの愛着障害の改善につながることがあると言われています。

最も大切なこととして、幼少期に満足に得られなかった愛着形成のための愛情深いスキンシップやコミュニケーションを補ってあげることが挙げられています。そして、愛着障害は「鬱」だけではなく、「心身症」や「不安障害」「境界性パーソナリティー障害」などの精神障害の原因ともなります。そして、発達障害の特性と同じような症状がみられることがわかっています。