4、多様な生徒のために効果的な学習支援について
通信制高校の改革として、通信教育の質保証を図るための制度改革に重点が置かれています。その中で、現場としても、多様な生徒のためのきめ細やかな対応の実現の必要性を強く感じていました。そして、自然学園では技能連携校として在籍されている生徒の様々な特性を考慮して進路指導や学習指導を実践してきました。
通信制高校に入学している在籍生の実情として小学校、中学校の在籍時に不登校を経験している生徒が大半を占めること。さらに本校に絞るなら、小学校在籍時および中学校進学時、中学校在籍時のいずれかで特別支援学級に転籍している生徒が多くなります。通常級で学習についていけない、提出物、宿題が出し切れないなどの悩みがあった生徒や、通級を利用していた生徒です。学力で言うと、教科によっては小学校の高学年の基礎学力も定着していない人もいます。
多様化に対する対応に関しては、柔軟な学習課題を提示しながら学び直しの学習支援が今回の改革には取り入れられています。一人ひとりのつまずきは、学習面においてもある教科やある分野とでできない課題がそれぞれ違います。計算を得意としている人も図形やグラフの計算は苦手であったりします。
その一つの要因として、文字や記号を認知(情報を処理する力)する言語的理解の優位性や空間的認知の優位性などの偏りがあると考えられています。国語の場合だと、文章を読み取り理解する読解力は高いのに、漢字を覚えることが苦手であったり、語彙を的確に使いこなすことが出来なかったり、考えを文章にしてまとめることが出来なかったりする人は少なくありません。国語の読解は視覚的な認知力だけではなく、自閉症スペクトラム傾向の人たちに多く見られる『心の理論』と言われる、相手の立場や気持ちになって他者を理解しようとする力が弱いことで、文章の意図の考察や主人公の気持ちの移り変わりが分かりづらい特性があります。ましてや細かい文字を認識したり、記憶したりすることに苦手さがある人だと、文字を飛ばして読んでしまう、段落を飛ばして読んでしまうなどの困難さが生じて、文脈がつかめないことがよくあります。固有感覚のバランスが悪い人は字を書くことにも困難さを生じる場合があります。
このように学習のつまずきにフォーカスしても生徒の特性は多様化しています。そのニーズに対して彼らが社会に参加して困らないだけの基礎的な学力を定着させていくことが多様な生徒のためのきめ細やかな対応の一つであると思っています。
先日報道されていた記事に、次期の学習指導要領の改訂で多様化における改訂の一つとして「不登校や通級利用の生徒にはその実情に合わせた学び直しの学習支援を取り入れ、それを評価に加える」ことの記載がありました。
このようなきめ細やかな対応は、実際に生徒が在籍して日常の学校生活を過ごす施設であるが故に個別の指導計画が立案でき、一人ひとりに合わせた支援の実践ができるものだと考えています。実際のレポート添削やスクーリング、それに基づく学力考査を実施している施設が可能とする、多様な生徒のために必要な支援であると感じました。