高等部:高等部通信10月号 学園長ブログ~可能性のとびら~-6

6、自然学園体育祭

10月5日(日)に、第12回自然学園体育祭が行われます。

小中学校時代の運動会や体育の授業が嫌いな子どもたちは、勝ち負けにこだわりパニックになったり、協調運動など感覚的なつまずきがあり、粗大運動が苦手で運動会や体育の授業で失笑を買ったり、チームが負けた責任を被らされたり、動きが遅れたり周りに合わせられなかったりして教員から注意を受けたりした負の記憶がある人たちが多いと思います。また、感覚過敏が強い人たちは、スピーカーから流れる音楽や大声、ピストルの音など耐え難い環境が運動会にはそろっています。

自然学園体育祭は、経験を通して先入観を無くし、苦手なことにも取り組む適応力を学ぶことや過去のトラウマから逃げない勇気、提示されている課題を受け容れ対応するための方策を考える姿勢を育むことを思い敢えて実施しています。もちろん、スモールステップでの登校を進めている人は無理して参加しなくてもなんら単位には関係ありません。

自然学園の目標である社会人として豊かな人生を歩むための「協働」や「協調」が体育祭に参加することで育まれることは確かでしょう。勝ち負けのこだわりを少しでも小さくするために障害物競走を取り入れ、脚力だけではない勝ち負けの要素を付加しました。また、その際のジャンケンも負けた感を強くもたないために旗上げジャンケンを導入するなど、発達障害の特性である聴覚過敏や感覚統合の問題以外のこだわりも含めて、細部にわたり考えられるだけの工夫を凝らした体育祭を心がけ、自分の意志で競技に参加することを基本に考えています。少しでも楽しいと感じてくれるだけで嬉しく思います。応援だけでの参加でも大歓迎です。

「玉入れ」はルールを守りながら興奮を抑え、冷静に玉を投げ入れるセルフコントロールが求められます。周りとの接触を避けるための視野の広さも必要とされます。ADHD傾向のお子様には、不用意な接触や暴言などでの対人トラブルを少なくするソーシャルスキルトレーニングの訓練になるでしょう。

「大玉ころがし」も「台風の目」も大玉や棒をうまくコントロールしながら、スピーディーに操作する競技です。しかもペアがいるので、相手のスピードに合わせながらできるだけ速く走る「協働」が求められる競技です。うまく力を入れたり緩めたりする固有受容覚を意識しながら前庭感覚を使って操作する同時処理が求められます。この競技も視空間のワーキングメモリが必要とされます。注意が他に削がれ集中力が続かないと、大玉や手で握った棒を複数人で先になるべく早く移動させることはできません。まさしく協調運動の練習になるのです。このような動きと連動しながら視空間のワーキングメモリを鍛えることは学習能力の向上にも結び付くと言われています。

障害物競走は、せっかく懸命に走って相手より早く旗上げポイントについたのに、旗上げジャンケンで負けたら潔く戻り、またチャレンジするひたむきさが必要です。勝ち負けへのこだわりから気持ちの切り替えが苦手だった人たちには楽しめるゲームになるでしょう。同時にこだわりが強く、勝ち負けがある競技を苦手としていた人たちの特性である課題の克服に繋がります。

「ゆるスポーツ」の要素もあらゆる競技で取り入れています。このような競技に参加することで、自然学園の目標である、社会人として豊かな人生を歩むための「協働」や「協調」の必要性を自分自身で実感するきっかけになれば良いと思っています。

勝ち負けではなく、自分に負けないことを目標に全力を出し尽くすことが、体育祭を通して皆さんに経験して欲しいことです。そして、気が付くとクラスメイトといることが何よりも楽しく感じられる居場所として皆さんの心に宿り続けることを希望しています。最後まであきらめない、自分に負けない、そんな生徒の気持ちが育める体育祭であれば何よりも嬉しいです。