2、体育祭のご報告
10月5日(日)に、第12回体育祭を開催しました。
自然学園高等部には、学校の体育の授業でも「縄跳び」「跳び箱」「マット運動」「鉄棒」「ボール運動」が苦手だったお子様が多くいます。運動に関する苦手さは、「感覚統合がうまくいかない問題」にあると言われています。手先が不器用な人、字がうまく書けない人、体を使う運動が苦手な人は、「感覚統合がうまくいかない問題」が起因している人が多いでしょう。
このようなお子様の中には、発達性協調運動症(DCD)と診断を医療機関から受けているお子様がいます。「手先が不器用な人、字がうまく書けない人」など鉛筆を正しい位置でうまく持てず、字を習得することや通常の速さで書くことの困難さも伴うので、授業に参加することや学業を修めるにあたって大きなハンデになります。幅広い範囲での運動と視野の困難さが見られるのです。さらに、このような微細運動の書字の困難さにつながるだけではなく、視空間のワーキングメモリにも影響しているのです。WISC‐Vの積み木模様や組み合わせのような視空間の下位検査の指数の低さでその困難さを推測できます。積み木模様はいくつかのブロックを用いて、指示された図形の配置などを認識し模倣する能力が問われます。視空間のパターンを認識し空間的配置を理解することが求められるのです。このような処理が苦手な人の中には、人のまねをすることや整列できない人もいます。そのほとんどは、保育園や幼稚園の時期から学習発表会や運動会などを苦手としている人たちです。
「縄跳び」「跳び箱」「マット運動」「鉄棒」「ボール運動」の粗大運動は前庭感覚と言われる感覚を使います。縄跳びをするときの姿勢とバランスの発達にも関係し、他にも、鬼ごっこのような人を探しながら追いかけるときの視空間の認知に影響する眼球運動、ジェットコースターに乗って過剰に興奮することを抑える覚醒の調整、車酔いを防ぐ自律神経系の調整にも大きく起因する無意識の感覚です。また、固有受容覚と言われる感覚は、乳幼児の母子関係にも影響するばかりか、人がしていることを真似するための身体のイメージの把握や、牛乳などの紙パックからそっとカップに注ぐときの力の加減、指や手首、腕などの動きに対するコントロール、自分と物との距離感や物との方向などの位置の把握、および文字の学習で必要とされる一連の手順の記憶など、様々な動きに大きく起因する無意識の感覚であるとされています。
感覚統合とは五感(視覚、聴覚、臭覚、味覚、触覚)のような意識できる感覚と、自分では意識できない感覚(固有受容覚、前提感覚)を脳での処理がうまくコントロールし調整することで、自分がイメージする身体の動かし方がイメージでき、力の加減もコントロールすることができます。感覚統合に問題があると固有受容覚や前提感覚が語幹と連動して脳での処理ができず、コントロールや調整が上手にできないのです。
保育園や幼稚園の時から自分の身体のイメージの把握することができず、人がしていることを真似できないためお遊戯やダンスが他のお子様と一緒に合わせられない苦手さがあったことを聞くことがあります。小学校になると、姿勢とバランスの発達の遅れから縄跳びができない苦手さや朝礼や運動会などの整列や行進などに苦手さが見られ、よく注意されがちで、学習発表会や運動会が近付いてくるとお腹が痛くなるお子様の話をよく聞きます。
運動会をきっかけに不登校になったケースはよくあることです。競技でも眼球運動がスムーズではないことがドッチボールや鬼ごっこなどにも影響するように、運動会の競技種目でも影響することがあるでしょう。
前日から当日の朝方にかけては雨模様でしたが、準備をし始めた頃には秋晴れの体育祭日和となり、午後に近付くにつれて気温も高くなりました。また、今回は熱中症対策のため午前中の開催にしました。「玉入れ」では、全学年が一丸となって目標のカゴに向かって玉を投げ入れていました。「障害物競走」では「旗上げじゃんけん」で負けて、何度も戻らなければならない生徒もいましたが、最後まであきらめず走っている姿がとても印象的でした。
今年は「赤組」の勝利でしたが、勝ち負けにかかわらず、一人ひとりに得るものがあったのではないでしょうか。普段運動をあまりしない生徒たちには、心地よい疲れと、達成感が忘れられない思い出になったことでしょう。今まで自然学園で実施してきた体育の授業同様、運動会の練習や本番での嫌悪感や疎外感などのトラウマが払拭され、少し解放された気持ちが芽生えるきっかけになればうれしいです。