3、「働くこととは何か」「働くために必要なこと」
就職について考えたときに、特に1年生は「働くこと」の考えが現実的ではないことがあります。実際に働くことで給料を得て自活する意識が薄いばかりではなく、仕事や業務においても「ゲームが好きだからゲームや画像のクリエイターになりたい。」「漫画が好きだから漫画家になりたい。」「YouTubeを見ることが大好きだからユーチューバーになりたい」と話している人たちがいます。実際に漫画家として漫画雑誌に連載のチャンスを掴み活躍している卒業生や画家として活躍している卒業生もいます。3年生では早くも動画作成の専門学校に特待生で合格した生徒がいます。自主制作した動画作品が認められての結果です。
これらの皆さんはただ好きなだけではなく、自分の夢を実現するためにどうしたらいいかを自分で調べ、そのための努力を自分で続けてきた人たちです。同人誌を作り漫画を描き続けその販売を続けていた人や、美術大学への受験勉強に励んでいた人、自主制作の動画作成に試行錯誤を繰り返しながら励み続けていた人たちです。そしてその努力が認められた人たちです。
何もやらないで、ただ好きだからその職業に就けるわけではないのです。働くことの第一歩は自己理解から始まります。
特例子会社をはじめ障害者枠での採用を積極的に実践している企業が働くためのスキルとして求めていることは「セルフマネジメントスキル」「コミュニケーションスキル」「作業遂行スキル」に集約されるのではないでしょうか。
「セルフマネジメントスキル」とは自己理解の能力であり、自身の障害を理解しマネジメントする能力です。具体的には「できること・できないこと」の自己把握、合理的配慮の要求、通院服薬の管理、健康管理(体調の自己管理)、社会保障の活用、支援機関の活用などが挙げられます。
次に「コミュニケーションスキル」があり、他人を観察することで、自分の行動を振り返ったり、正しい行動を習得したりするモデリングを指します。そして相手の意見を聞き、相手を尊重しつつ、自分の意見を言うアサーショントレーニングの訓練を指します。「わからないときはどう質問すればいいか」「人意見が違ったときはどうすればいいか」などのロールプレイ等のSST(ソーシャル・スキル・トレーニング)も実践的な「コミュニケーションスキル」として必要とされるスキルです。
3つ目の「作業遂行スキル」は業務の技術的な習得ではなく、「作業ポイント」を整理する、道具の名前をつぶやきながら指差し確認をする、「手順カード」を作る、作業台の整理整頓など、一人ひとりが自分にあった働き方を工夫する、「疲れのサイン」決めておくなど、業務を遂行する際の課題克服の方法がそのスキルとして考えられています。
以上のスキルが一定の基準に到達できている生徒でないと、実習であっても社員の方々と協働するうえで生産活動を業務として遂行することに無理が出てきます。だからこそ、自分自身ではどんなことが得意で、どのようなことならできるのか、どんなことが苦手なのか。そのことと認知発達から生じる凸凹の特性との関係性をどう把握しているのか。自分のつまずきから逃げずに向き合うことが必要になります。