令和6年度不登校児童生徒数の統計結果について-1

令和7年10月29日に文部科学省から令和6年度不登校児童生徒数の統計結果が発表されました。

全国の小中学校で2024年度に学校を30日以上欠席した不登校の児童生徒数は前年度から7,488人(2.2%)の35万3,970人となり、過去最多を記録しています。不登校の増加は12年連続で10年前と比べると小学生は5.5倍、中学生は2.2倍に増えています。ただ令和6年度の新規不登校の児童生徒数は小学生70,419人(前年度74,447人)、中学生で83,409人(前年度90.853人)であり小学生、中学生ともに減少した。小中学生の合計の新規不登校生児童生徒数は153,828人(前年度165,300人)であり、9年ぶりに減少している。高校生における不登校の生徒数は67,782人(前年度68,770人)であり前年度からの減少している状況からようやく下げ止まりの兆しが見えているように感じます。

不登校の内訳は、小学校が13万7,704人(前年度比5.6%増)、中学校が21万6,266人(同0.1%増)。児童生徒全体に占める割合は3.9%。不登校児童生徒について学校側が把握した事実としては、「やる気が出ない等の相談があった」30.1%が最も多く、「生活リズムの不調に関する相談があった」25.0%、「不安・抑うつの相談があった」24.3%、「学業の不振・頻繁な宿題の未提出」15.6%、「いじめ以外の友人関係をめぐる問題」13.2%の順で多い状況です。児童生徒1,000人あたりの不登校の人数は小中学校合わせて38.6人。年間の欠席日数が90日以上の児童生徒は19万1,958人で、不登校全体の半数を超え、54.2%を占めています。不登校が社会問題として取り扱われるようになってから、2016年の教育機会確保法に本人の意思を十分に尊重し、子どもによっては休養が必要なことがあることも配慮しつつ、本人に合った支援を行うことや民間の教育機関等とも連携することが明記されており、コロナ禍の休校によって休むことへの抵抗感が薄まったことやイレギュラーな登校計画に適応できない人がいたこと、休校によってSNSの依存度が高まりクラスの分断が起こり孤立してしまう人がいたことも不登校を加速させた要因として考えられます。

また、フリースクール等への登校や保護者の休養に関する意識が強くなったこともこのような状況に影響していると言われています。文科省は不登校増加の背景を、「子どもの休養の必要性が浸透したことや、コロナ禍以降『無理に登校しなくてもよい』という意識変化が生じたことなどが影響した可能性がある」と説明しています。

高校生の不登校の生徒数は68,770人(前年度60,575人)で前年度より増加しています。前年度から8,195人(13.5%)増加して過去最多となったが、前年度と比較すると増加率は若干低くなりました。(2022年度が18.8%で2023年度は13.5%)。在籍生徒に占める不登校生徒の割合は2.4%(前年度2%)で前年度より増加しています。

不登校生徒について把握した事実としては、 高等学校においては、「学校生活に対してやる気が出ない等の相談 があった。」(32.8%)が最も多く、続いて「生活リズムの不調に関する相談があった。」(26.7%)、「不安・抑うつ の相談があった。」(16.7%)、「学業の不振や頻繁な宿題の未提出が見られた。」(15.4%)、「いじめ被害を除く友 人関係をめぐる問題の情報や相談があった。」(11.0%)の順で多い状況でした。

高等学校における中途退学者数は 46,238 人 (前年度43,401 人)であり、平成25年度以降減少傾向にあったが、 令和2年度を境に増加して中途退学率は1.5%(前年度1.4 %)で増加傾向を維持しています。中途退学の主な理由として、進路変更によるものが最も多く、19,087人(前年度19,055人)となっており、割合は41.3%(前年度43.9 %)となっています。

発達障害の疑いがあり特別支援教育を必要とする子どもたちに関係する統計として「障害に起因する特別な教育支援の求めや相談」(9.6%)の項目に注目すべき点は、小学校での統計では「いじめ被害を除く人間関係をめぐる情報や相談があった」(11.8%)に次ぐ多さで第6番目に続いていることです。統計の発表においてこのような事実は見逃されがちですが、それ以外の上位に挙げられている不登校児童生徒について把握した事実は、発達障害がある子どもたちの特性として考えられている2次的なつまずきでもあります。そのようなことから特別支援教育を必要としている子どもたちの対応の強化が求められると考えます。

いじめ認知件数は、小中高と特別支援学校を合わせて76万9,022件(同73万2568件)で、4年連続で過去最多を更新。76.1%が24年度末までに解決していた。心身に重大な被害を受けた疑いがある「いじめ重大事態」も1,405件(同1306件)と最も多い件数でした。

小・中学校及び特別支援学校においては、「冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる。」が最も多く、続いて「軽くぶつかられたり、遊ぶふりをして叩かれたり、蹴られたりする。」が多くなっています。高等学校においては、「冷やかしやからかい、悪口や 脅し文句、嫌なことを言われる。」が最も多く、続いて 「仲間はずれ、集団による無視をされる。」が多くなっています。「パソコンや携帯電話等で、誹謗・中傷や嫌なことをされる。」の件数は全体で27,365件であり、引き続き増加傾向にあります。令和になっての統計として R1:17,924件、R2:18,870件、 R3:21,900件、R4:23,920件、R5;24,678件であり、じわじわと確実に増えていることがわかります。

文科省はいじめ認知件数の増加については、積極的な認知に対する理解が進んだほか、「1人1台」の情報端末を使った心身の健康観察による早期発見効果などを挙げています。