大人になってから発達障害に気づく場合は、学生時代にそれ程目立たなかった特性が、社会に出て顕著化することが多いようです。その場合、職場の人間関係や仕事上での困難さが露呈することで気づくケースが多いようです。大人の場合は、そのような困難に対して解決策を見出そうと思い悩み、葛藤したりしながら自己と対峙します。一定の努力をしながらも状況が悪くなり、上司の注意が重なり、まわりの目が気になるようになり、自己肯定感が低くなります。精神的な負担が強くなると「鬱」や「不安障害」「強迫神経症」などの症状が出てきます。このような状況があって初めて精神科を受診した場合、その主治医が自閉スペクトラム症、ADHD、SLDなどの神経発達症に詳しい主治医の場合に初めて大人の発達障害が疑われ、検診の結果、神経発達症に関係する診断名を診断されることになります。
自然学園大学部の生徒の場合は学生時代に発達障害傾向の症状が露呈して集団生活での適応ができず、不登校になってしまい、学力的に通常級の授業がついていけず特別支援学級に転籍した場合などが多いですが、その場合進路として通信制高校を進学先として選択した生徒がほとんどです。高校在籍後、なんとか卒業はできたものの社会参加ができず入学されたケースが多いと思います。そのような生徒の場合は2次障害の診断とともに精神的な不安定さから、卒業しても社会復帰が遅れてしまった生徒も少なくありません。
また大学に進学し、自宅を離れて就職し一人暮らしをした場合に学校生活や職場での生活、一人暮らしがうまくいかず、衣食住の管理ができず栄養失調や極度の疲労、家賃の滞納、ギャンブル依存、アルコール依存、学費、仕送りの使い込みなど社会性のつまずきが露呈し発達障害に気づくケースの生徒もいます。
大学に進学しても履修の未登録や出席の自己管理、単位認定試験の失敗など大学生活における自己管理の欠如で除籍されるケースやレポートや論文が提出できない、ゼミでの発表が苦手、人間関係のトラブルなどの問題で不登校になるケースなどで発達障害に気づくケースもあります。
就職して挫折したケースも少なくありません。職場でコミュニケーションがうまくいかず人間関係でまわりとの摩擦があり、人が離れていき仕事の相談もできないケースや相手の気持ちやお客さんの気持ちが理解できず相手を怒らせてしまうことなどがきっかけになるケースも少なくありません。臨機応変な対応ができず、こだわりが強いことでミスが多発しているケースや「報連相」がわからず重大なミスを犯してしまったケースなどさまざまな業務上のミスが重なり発達障害に気づくケースもあります。それらのほとんどの場合、気づいたときには2次障害で情緒が混乱している状態で医療機関を受診するケースです。