医療機関で神経発達症などLDやADHD、ASD(自閉症スペクトラム障害)の診断を受けた学生や学生時代は通常学級や特別支援学級の情緒級在籍で診断がでなかった人や診断を受けたとしても療育手帳が取得できなかった人は多くいるでしょう。
今まで発達障害がある高等学校への進学者に関しては、特別支援教育のみならず発達障害がある生徒の就職指導がすすめられていなかった現状があります。高校における一般就労に至る道のりは相当高いハードルがあるように思えます。義務教育課程における特別支援教育の現状と同じように、すぐに一人ひとりのニーズにあった支援には時間がかかるものと思えます。
自然学園大学部でも企業に在籍学生がかかえる障害を理解していただき体験就労の実施や採用までの関係に至る道のりは時間がかかるものでした。企業が要求するスキルや実習を通して必要なスキルを授業カリキュラムに落とし込み、課外活動も含む学校行事や職業実習を通した体験的な学習で般化するためのソーシャル・スキル・トレーニング(SST)を自然学園大学部では創立当初から実践しています。
2011年1月に、中央教育審議会がまとめた「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育のあり方について」が答申されましたが、1980年代後半からキャリア教育が提唱され、1998年から文部科学省主導でキャリア教育の取り組みが普通校にとどまらず、特別支援学校においても開始されました。キャリア教育のプログラムは、幼児期から青年期あるいは高等学校に至るまでの体系的な学習支援を通して、子どもが生涯にわたり社会人、職業人としてキャリアを形成していくための基盤を作ることを目指しています。キャリア教育は発達障害のお子様の場合、より綿密に、丁寧に行わなければいけません。発達障害がある人とそうでない人との違いは、働き、生活していくうえでの困難さをより強く感じるかどうかにあります。認知や不注意性や不器用性、人間関係におけるつまずきから注意を受けることが多くなり、自信を失い、退職に結びついてしまうことも珍しくありません。そのため、本人は自分の特性を理解し、その改善に努め企業に自分のつまずきに対する合理的配慮を申し入れることができるスキルが必要とされてきます。そして自分に合った将来を設計し、多少の働き、生活していくうえでの困難さがあったとしても、必ず充実した、満足のいく人生を送ることができるでしょう。そのためには障害の告知や障害者手帳の取得は、彼らにとって必要不可欠なことになるはずです。自然学園大学部は上記に該当する18歳以上の学生を対象にして社会的な自立に向けた総合的な支援を行う教育機関です。