本来抱えている困難さの他に、2次的に情緒が混乱、または不安定になったり、身体症状として現れたりすることがあります。それらは発達障害の「2次障害」と言われています。発達障害がある子にとってはさらに困難さが増えてしまうため、気をつけなければなりません。2次障害で生じやすい強迫性障害や不安障害、不眠や鬱症状などは、発達障害の合併ではない場合も考えられます。
愛着障害とは、養育者との愛着が何らかの理由で形成されず、子供の情緒や対人関係に問題が生じる状態です。主に虐待や養育者との離別が原因で、母親を代表とする養育者と子供との間に愛着がうまく芽生えないことによって起こります。
乳幼児期に養育者ときちんと愛着を築くことが出来ないと、「過度に人を恐れる」または「誰に対してもなれなれしい」といった症状が現れることがあります。
このことが学校生活での人間関係のトラブルに直結するケースとして見られる事例があります。他人との距離感がうまく保たれず、担任やクラスメートの言動の一部を取り上げて、相手のことを善悪で決めつけ、相手を否定し攻撃するような問題行動がしばしば見られます。警戒心が強すぎて人前で話せない場面や自分自身を攻撃するケースも見られます。このような「過度に人を恐れる」ケースを反応性愛着(アタッチメント)障害と診断されることがあります。
また他人との距離感がうまく保たれず、それほど親しくないクラスメートにつきまとったり、まるきり面識がない人にでも親しげに近づいて嫌がられたり、教員に対しても接点が少ない教員につきまとい、はっきり拒否されないといつまでも親しげにつきまとう問題が生じている生徒がいます。誰彼構わず抱き着いてしまい自分を癒してもらいたい欲求が抑えられなくなる生徒もいます。このような「誰に対してもなれなれしい」ケースを脱抑制愛着障害と診断されることがあります。
以上のことが起因したトラブルは、学校生活が少し落ち着いた今の時期に起きやすいのです。そしてこのような学校内での問題行動によって、クラスでの居場所を失い、クラスメートから疎外され孤立してしまうことも珍しいケースではありません。愛着障害は自分がまわりから疎外され疎まれることが大きくなればなるほど承認欲求が強くなり、他者から注目されるための問題行動をわざと起こす傾向があります。周りの反響や反応が大きければ大きいほどその回数は増えていきます。