思春期にうまく人間関係を構築することができず、孤立を深めるお子様が少なくありません。元々コミュニケーションが苦手な自閉スペクトラムなどの発達障害があるお子様はクラスの他の生徒とは異質と見られやすく人間関係のトラブルが発生するリスクが高いです。また思春期は攻撃性が現れやすい時期です。このためいじめを含めて様々な攻撃的な言動に出やすいのがこの時期なのです。いじめの被害を受ける可能性があるお子様は発達障害の特性があることで、空気が読みづらくまわりの人たちと協調できずにコミュニケーションが一方的になりがちなお子様が多い印象です。また不器用性があり、運動の苦手なお子様程、孤立しがちでほかのお子様とくらべて変わった子に見られやすい特性があり、いじめのターゲットとなりやすいのです。
その結果、教室に居場所がなくなり、自己肯定感は下がり、不安の強さが情緒の混乱につながり、精神的な不安が強迫性障害やうつ病、不安障害など精神疾患を合併して、家庭や学校での問題行動と合わせて社会適応の困難さを生じる現象を2次障害と言っています。先にご説明した通り不登校や引きこもり、家庭内暴力、自傷行為、教員や同級生への暴言や暴力、拒食や過食などにもつながるケースもあります。
「甘える」や「誰かを信頼する」などの経験値が極端に低いため、自分に向けられる愛情や好意に対しての応答が、怒りや無関心となってしまう状態を愛着障害と言いますが、幼児期の愛着形成に何らかの問題を抱えて発達にゆがみが生じて成長した状態でもあります。愛着とは医学的には特定の人に対する情緒的なきずなを表しています。
先天的な発達障害やこのような生まれ育った環境に関係がある愛着の問題があり、「人格障害」などの精神疾患が2次障害の要因に考えられるお子様も少なくないのです。