自然学園大学部で学んでほしいこと(1)-大学部通信より-

新しい環境で落ち着かない人たちがたくさんいると思います。クラスメートが変わったり、教科の先生が変わったり、新しい環境に適応するのに時間がかかる人たちが多いのではないかと思っています。自然学園の在籍生は、どちらかというと人間関係を得意としている生徒より苦手としている生徒のほうが多いのではないでしょうか。

社会人では、人間関係をうまく構築できる人ほど、仕事をスムーズにこなすことができる人だと言われています。人間関係の基本はコミュニケーション力であると言われていますが、大人になればなるほど人間関係の構築には、高いソーシャルスキルを要求されてきます。高いソーシャルスキルとは、相手の気持ちを読み取る能力、相手の気持ちを察して相手の期待する対応や行動がとれることです。このことが、他者と円滑に人間関係を結ぶことができるコツになってきます。

人間は誰しもが自尊心を持っていて、自分が重要だと思っています。だから誰しもが自分を認めてほしいという願望が強いのです。幸せだと感じる気持ちは、自分が必要とされているという充実感なのです。人間は元来、自分本位の生き物なので、自分の考えを主張しがちです。仕事ができる人は、自分の主張や相手に対しての要求だけではなく、相手の気持ちを読み取り、相手のやりたいような事柄や条件を満たしてあげる寛容さと推測力の高さを持ち合わせているのです。だからこそ人を動かすことができるのです。そういう意味で仕事ができる人は人間関係がうまく構築できる人なのです。

ASDやADHDの傾向の人は、どちらかと言うと人の気持ちを読み取ることが苦手な人たちです。自分ではそうではないと思っていても、クラスメートからは自分勝手でわがままだと思われている人も少なくないでしょう。人の気持ちを読めないことには、生まれながらにもっている性格やつまずきとされる特性も起因していることと思われがちですが、それだけではありません。自分自身に自信がなくてコンプレックスが強く、自己肯定感が低い人たちは、その裏返しとして自己主張の強さや他者への攻撃性が、自分の気づかないところで強くなります。

そうだとしたら、それを改善するにはどうしたらよいでしょう。それは自分自身に自信をつけることが一番有効な方法になります。自分自身には自分でも気づかない、いいところ、悪いところ、できること、できないところがあります。できるところには、自分では気づいてないだけで他の誰よりも優れているところ、他の人ができないことができることもあるのです。そのことに気付かせてあげること、できることを褒めてあげてもっとできるようにしてあげること。そしてなるべく多くの成功事例を積み重ねることで自分にできるという実感を植え付けていくことが私たちの役割だと思っています。このことが自己肯定感の高さにつながります。それは『自信』となります。