文章読解は、文章を読んで、短い段落ごとに書かれている事柄を把握して、その関係性から文章構成を理解する練習が必要になります。物語文なら主人公の気持ちの移り変わりや登場人物との関係性、登場人物の社会的な立ち位置やその役割、性格、過去の出来事などの内容は、時制を踏まえて整理しながら読み進めることが求められてきます。論説文なら、筆者の考えを文章に用いた言葉の意味と文脈とを重なりを合わせながら段落ごとに読み解いて、文章全体の構成や序論・本論・結論などの文章の構成を読み解くことが求められていきます。
文章読解は、視空間ワーキングメモリより言語領域のワーキングメモリが極端に低いことが苦手さの要因として考えられます。漢字のかたちや語彙の文字を視覚から判断する能力より漢字や語彙の音やその意味の理解が弱いことで文章に意味がとらえきれず、文脈が読み取れないことがあると思います。その場合は漢字に読み仮名を明記し、語彙の意味カードを文章のそばに携えながら読み進めることが必要になるでしょう。また、物語文ならば先に話した主人公の気持ちの変化を時制や段落ごとにまとめ、登場人物との関係性や登場人物の社会的な立ち位置やその役割、性格、過去の出来事などの内容を整理したワークシートを作成することが重要になります。ワークシートの作り方はなるべく登場人物によってイメージしやすいキャラクターをイラスト化するなど表現方法の工夫が大切です。作成したワークシートを確認しながら文章を読み進め、後にある設問を考えることで、読解における思考力がまとまってくるはずです。これは言語領域のワーキングメモリに負担をかけず、視覚からの認知の強みを利用することに意味があります。もともと回りくどい言い方やたとえや示唆するような言い回しは理解することが難しい子どもたちです。そのイメージを結び付けるパイプの役割を果たす絵カードを使いながら理解を補っていくのです。
認知発達の偏りはお子様によって違いますが、視空間のワーキングメモリが弱い子どもたちには、文章を読み上げてあげる支援が必要となるでしょう。そして、絵カードを見ながら具体的な映像でイメージをつくらせながら、ゆっくり文章を読ませていきます。文字の大きさや読む文章の段落を明確になるように枠で囲む等の細かい配慮も必要となります。内容が分からなくなったときは、口頭での説明を加えながらお子様が理解しやすいようにリードしていきます。
次に時制ごとに絵カードをならべて、文章の構成にあわせて順番を確認していきます。絵カードの対で作成した文章カードを読みながら絵カードの横に並べてマッチングさせていきます。絵カードを見ながら文章を読むことで内容の理解を促せます。次に文章のみを音読させ、最後に絵カードを確認させながら黙読させていきます。